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May 2000

May 29, 2000

ハンニバルとイエスの遺伝子

トマス・ハリス「ハンニバル」読む。
言わずと知れた「レッド・ドラゴン」「羊たちの沈黙」のさらなる続編である(レクター3部作ってことになるのか?)。良く知られている事だがこの男、寡作もいいトコで25年間に「ブラック・サンデー」を加えた4本しか執筆していない。それで生活出来てんだから羨ましい限り。
アンソニー・ホプキンスはそのまま出るようだが、原作を読んだジョディー・フォスターがあんまりな内容ってことで降板したためにジュリアン・ムーア(「ロスト・ワールド」でヒロイン面して出てきたくせに、実は諸災難の根源だったヒトです)で映画化するらしい。地味なタイプの人だけに化けてくれないと、じょでーさんと比較されるとキビシそうだ。意外にも年は一つしか違わないんだが…(ムーア61年、フォスター62年)

監督はリドリー・スコットなので原作通りやるならフィレンツェ編は独特のムード満点な絵になりそうだ。
だが、じょでーさんが降りたのもさもありなんというか…非情に悪趣味な描写の連続で、しかも長いので読了するのが大変だった。買ったからには読むが、正直途中でどうでもよくなってしまった。ベストセラーにはなってるようだが、人に薦める気にはなれんなー。上手い事エッセンスだけとりだして映画化すれば良いかもしれんが、そのままやるとグロテスクなだけだろう。

マイクル・コーディ「イエスの遺伝子」読む。

作者はこれがデビュー作だそうだ。洋の東西を問わず、やたらと長い話を書きたがるというのも困ったもんだがこれも文庫では上下巻。

不治の病で余命いくばくも無い娘の命を救うべくイエスの遺伝子の謎を探求するというプロットはなかなか面白い。ネタも一応なるほどと思わせてくれる。
それだけでは話が持たんと思ったか、謎の宗教結社とか謎の暗殺者がからんでスッタモンダをするわけだがこのへんはまあ、あまり趣味には合わないが普通の出来。

読むのは面倒だがネタは知りたいという方はご連絡ください。わ、酷ぇ書き方(笑)。

May 27, 2000

子連れ狼(富三郎版)

なんだか時代劇好き親父の日記のようになっているなあ。というわけで一応素浪人もの、「子連れ狼・劇場版」である。ケーブルで放送されていた1作目から3作目を見て、あまりの凄さにおもわず口アングリとなってしまい、ここに登場と相成った。
「子連れ狼」といえばTV版のヨロキンのほうが有名かもしれないが、こちらは未見。劇場版はTVより先で、主役の拝一刀はスガイさんこと若山富三郎、監督は必殺シリーズなども多く手がけた時代劇の巨匠三隅研次(大魔神も一本撮ってる)。
さてこの映画まず驚くのが、富三郎といえば「東映」のスターであるのに「東宝」作品と言うことだ(正確に言うと勝プロ作品だが)。実際クレジットには若山富三郎(東映)と出てくる。だから何だってことはないんだけど、明るく楽しい最大公約数な映画の「東宝」というイメージからは甚だしく逸脱していて強烈。

で、このシリーズ殺陣がやたらとぶっ飛んでる。1作目「子貸し腕貸しつかまつる」からしてとにかくやたらと景気良く血飛沫が飛ぶ。血飛沫も飛ぶが首も飛ぶ。山さん(というか毛間内以蔵か。ってそんなもん誰も知らねえよ!)こと露口茂(出番が少なく実にもったいない使われ方)の首も見事に飛んでしまい、ビックリ仰天。あまりに見事に斬られたために斬り口から血飛沫があがる胴体がそのまま走りつづけるという絵が見られる。
一刀が振う水鴎流斬馬刀にて両足を切られた敵がこれまた斬り口だけ残して(つまり足は斬られた位置に立ってる…)胴体だけが倒れるというのも凄い。というかココまで来るとどこまでマジなのか判らなくなってクラクラしてくる。

2作目の「三途の川の乳母車」はほぼ全編闘いっぱなし。はっきり行ってこれはRPGの世界。拝一刀が乳母車を押して街道を進んでいると、次から次へと敵の刺客とエンカウントするもんで(必殺でおなじみ鮎川いずみとかもいたりする)とにかく良く闘う。
いかに一刀が強いとはいえさすがに傷つきダウンしたりもする。あげく大五郎を人質にとられて敵をののしるのだが、この男その大五郎を利用したもっと卑怯な作戦で相手を倒したりするので人の事は全然言えない(笑)。さすが冥府魔道。そんなこんなで小林昭二とか岸田森を倒すのがこの作品。大五郎も結構やるよ。(ちなみに劇場版の大五郎は逮捕されてませんのでお間違えなきよう。だがこれでTV版は二度と放映されないかもしれんな…)
しかしこの2作目で一番エグイ殺陣?は敵同士の殺陣で裏柳生VS黒鍬者である。あまりにエグイので文章にするのも憚られるほどだが…狂ってます。

ちなみに拝一刀は刺客を生業としとるので、それほど悪くなさそうな人も依頼キッチリで始末してしまいます。酷ぇ話だ(笑)。勧善懲悪なんつー言葉はこの世界通用しません。

3作目の「死に風に向う乳母車」も凄い。
浜木綿子が一刀に仕掛ける「ぶりぶり」もさることながら、大クライマックスの大殺陣はもはや殺陣というレベルではない。数百人(少し誇張(笑))の敵(飛び道具アリ)が待ち受ける荒野を乳母車一台押しつつ進む一刀。
しかしほとんど万能戦車と化した乳母車に敵は無いのだ。あっというまに敵は全滅(おい)。
そして今作最強の敵、大岡越前…ではなく加藤剛との決闘である。
この加藤剛の役もかなり変というか何つーか、色々悩んでいるのだが、冒頭で仲間の侍の暴行事件を見るや否や判断は速く、事件をもみ消すため被害者諸共バッサリ斬ってしまうのだ。酷い…

決闘の最後は一刀が元公儀介錯人の腕を存分に振るうのだが、ここの映像は介錯される加藤剛の視点(つまり転がる首の見ている景色ってことね)というぶっとんだもの。どうやって撮影したんだろう?
荒野に転がる加藤剛の頭という何やらシュールな絵から、若山自ら歌う主題歌(曲:かまやつひろし!)とともにエンド。

ストーリーはどの作品も細切れのエピソードをつなげたようなもんで、なんかダイジェストを見ているような感じだし、バカバカしいといえばその通りだが妙に新鮮な事も確かだ。さらに昔は珍しくない事ではあるが、この3作すべて同じ1972年の公開(実は4作目も)であるというのも当時の邦画事情がうかがえる。

来月はさらにシリーズ後半の3本が放映予定らしい…

May 23, 2000

どら平太

役所広司主演・市川崑監督による痛快時代劇という触れ込みの「どら平太」を見た。
タイトルは、やっぱりでた本家本元極太明朝。

内容は、というと役所広司は素浪人…では無く御奉行である。金さん系である。で、その金さん…でわなくどら平太が如何にして大掃除をするか、というのがお話である。
話の方は可も無く不可も無くであるからして、最大の見せ場はやはり殺陣ということになるのだが、意外と迫力に欠けるつーか予想したほどでも無かったのはなんでだろうね。ココは痛快時代劇らしく景気良い音楽で盛り上げて欲しかったね。

迫力だけなら、むしろ短いながら「雨あがる」の殺陣の方が緊張感といい上だったろう。
ただ、実は「雨あがる」はここだけ浮いてるとも言えるんだが…

また殺陣で全く血が飛ばず、最近ケーブルで映画「子連れ狼」シリーズを見たばかりなので落差が激しい(笑)。「子連れ狼」はまさに血飛沫という表現がぴったりだもんで。手とか首がやたら飛ぶし。

ま、「どら」はすべて峰打ちであるからして血が出ないのも道理だが。リアルにこだわると(こだわってんのか?)峰でもないとあの人数斬れんしな。

役所は丁寧な言葉遣いをするときが特に良い。あと儲け役は片岡鶴太郎と宇崎竜童。ほとんど画面でいっしょにならないのが上手い。
親分3人衆(石倉三郎、石橋蓮二、そして菅原文太!)もなかなか良かったが、チョイ役の岸田今日子の迫力は(出番に意味なんか無いんだが)流石。

ただなあ、ヒロインがいまさら浅野ゆう子というあたりがちと残念かの。このあたりで年齢的にもぴったりはまる女優って他にもいそうなもんだがなあ…

やっぱ時代劇は素浪人のほうがええわ(爆)。

May 04, 2000

eXistenZ

久しぶりの自身によるオリジナル脚本作品つーことで待望だったデヴィッド・クローネンバーグの新作がよーやく公開である。

今回は濃いですなー。クローネンバーグ度200%=お茶の間度-200%。はっきりいってヤバイっす。いやまあ、いつもヤバイっちゃーそうだけどグロテスクな美術はかなりキテますな。お得意のメタファーも無修正全開(なんのこっちゃ(笑))。なんかこの前のカンヌでは審査委員長とかになってて、偉くなったもんだのーと驚いたもんだが、自分の作品のほうは、相変わらずである。

※ちなみにカンヌの時は北野 武が落選とあって一部で奴のせいだ!と不評を買ってたようだが。そういわれてもねえ(笑)、まあどうでもいいや。

作品のテーマは今や、それ自身がジャンルとなってしまったバーチャルリアリティ-モノであって、ズバリ「裏マトリックス」って感じですかな。まー爽快感無いことこの上なし。正直言って表面的な表現の点で、もう何年か早く見たかった(完成はかなり前だったようなので、ワリ食ってるかも)という気にさせられるが、クローネンバーグ的には見る価値十分。もっと滅茶苦茶な話になってたらもっと良かったが。実際のところバーチャル云々はフリカケみたいなもんで、本当のテーマは別だしね。

そんなわけでファンなら必見。そうではないフツーの人は、責任持てないので知らん(笑)。

ところでワタクシも自分の生きている現実がウソだったらなあってな事、時々妄想しないでもないが…え、しない?そりゃまたシアワセなことですな。
まあ行きたくもない世界をわざわざバーチャルで体験する奴はあまりいないと思うので、やはりココは現実らしい。何とまあ悲しい現実認識だのお(泣)。

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